freeeの家事按分のやり方|家賃・電気代・通信費を経費にする手順

freeeの家事按分で、家賃・電気代・通信費の事業利用分だけを経費にする方法 freeeの使い方

自宅兼事務所の家賃80,000円を、そのまま全額「地代家賃」にしていませんか。

自宅を仕事と生活の両方に使っている場合、原則として全額が事業の経費になるわけではありません。事業で使った部分とプライベートで使った部分を分ける「家事按分」が必要です。

先に結論をまとめます。

  • 家事按分とは、事業用とプライベート用が混ざる支出のうち、事業利用分だけを経費にする処理
  • 事業利用比率は、面積・使用時間・走行距離など、利用実態に合う基準で決める
  • freeeでは、対象取引を総額で登録し、家事按分ルールに「勘定科目・品目・事業利用比率」を設定する
  • 再計算すると、プライベート利用分が「事業主貸」へ振り替えられる
  • 取引や比率を修正したら再計算し、損益計算書まで確認する

この記事では、2026年7月29日に確認した国税庁とfreee公式ヘルプをもとに、個人事業主がWeb版freee会計で家事按分を設定する方法を初心者向けに解説します。

記事内の金額・品目・割合は解説用の架空データです。按分割合は一律に決まるものではなく、この記事の数字は推奨値ではありません。

家事按分とは

家事按分(かじあんぶん)とは、仕事とプライベートの両方に使う支出を、事業利用分と私用分に分けることです。

国税庁は、家事上と業務上の両方に関係する「家事関連費」について、取引の記録などに基づき、業務上直接必要だったことを明らかに区分できる金額だけを必要経費にできると説明しています。

例えば、自宅兼事務所の家賃が80,000円で、利用実態から事業利用比率を20%とした場合は、次のように分けます。

区分 計算 月額
支払った家賃の総額 80,000円
事業利用分 80,000円×20% 16,000円
プライベート利用分 80,000円×80% 64,000円

freeeの家事按分機能では、いったん80,000円の全額を地代家賃として登録し、再計算によって64,000円を事業主貸へ振り替えます。結果として、事業利用分の16,000円だけが経費に残ります。

「事業主貸」は、事業のお金をプライベート側に回したことを表す勘定科目です。詳しくはfreeeの事業主貸・事業主借の違いをご覧ください。

家事按分するもの・しないもの

家事按分の対象になるのは、1つの支出に事業利用とプライベート利用が混ざっているものです。

支出の例 基本的な考え方
自宅兼事務所の家賃 仕事に使う部分だけ按分する
自宅の電気代 仕事で使う部分だけ按分する
仕事と私用を兼ねるインターネット・携帯電話 事業利用分だけ按分する
仕事と私用を兼ねる車のガソリン代・保険料 事業利用分だけ按分する
事業専用の事務所や回線 全額が事業用なら、通常は家事按分しない
完全に私用の家賃・光熱費・通信費 事業の必要経費にはしない

「自宅の費用だから必ず按分する」のではありません。事業だけに使うもの、私用だけのもの、両方に使うものを先に分けると判断しやすくなります。

なお、家事按分は、販売用の商品を事業主が自分で使う「家事消費」とは別の処理です。

事業利用比率はどう決める?

家賃は20%、通信費は50%のような、全員に共通する正解はありません。freee公式ヘルプも、合理的に説明できる範囲で割合を設定し、家賃なら面積、車なら走行距離や使用日数などを用いる例を案内しています。

代表的な考え方は次のとおりです。

支出 比率を考える材料の例
家賃 仕事専用スペースの床面積÷住居全体の床面積
電気代 仕事時間、仕事用機器の使用状況、使用日数
インターネット・携帯電話 仕事で使った時間・通信量・通話の割合
車両費 業務走行距離÷総走行距離、業務使用日数÷総使用日数

大切なのは、割合の根拠を後から説明できることです。次の資料やメモを残しておくと、翌年の見直しにも使えます。

  • 賃貸借契約書や間取り図
  • 仕事スペースと住居全体の面積を計算したメモ
  • 電気・通信の請求書
  • 仕事をした日数や時間の記録
  • 車の走行距離や訪問先の記録
  • 比率を決めた日と計算式

利用実態が変われば、翌年も同じ割合が適切とは限りません。引っ越し、仕事部屋の変更、出社と在宅勤務の比率変更などがあったときは見直します。

個別の支出が必要経費になるか、どの基準が適切か判断に迷う場合は、税理士または所轄の税務署へご確認ください。

freeeで家事按分する全体の流れ

Web版freee会計では、次の流れで登録します。

  1. 対象を見分けるための「品目」を用意する
  2. 勘定科目・品目・事業利用比率を家事按分ルールへ登録する
  3. 対象取引を事業分と私用分を合わせた総額で登録する
  4. 確定申告時に[再計算]する
  5. 損益計算書で経費額を確認する

ここからは、次の架空例で説明します。

  • 家賃:80,000円
  • 対象:1か月分
  • 勘定科目:地代家賃
  • 品目:自宅兼事務所
  • 事業利用比率:20%
  • 事業利用分:16,000円
  • プライベート利用分:64,000円

手順1:「品目」を用意する

2026年7月29日に確認した画面では、「品目」に赤い必須表示はありません。ただし、freee公式ヘルプは、事前に家事按分の対象となる品目を登録し、取引と家事按分ルールの両方に同じ品目を設定する手順を案内しています。この記事も公式手順に沿って品目を使います。

品目を付けると、同じ「地代家賃」の中に、按分する自宅家賃と、全額を経費にする事業専用倉庫の家賃が混ざっていても、家事按分の対象を区別できます。必須表示がないことだけを理由に省略せず、対象取引とルールへ同じ品目を付けるのが安全です。

品目は、取引登録画面の[品目・部門・メモタグ]欄から新規登録できます。マスタ画面から登録する場合は、[マスタ・口座]→[品目]→[+新規作成]と進みます。

この例では「自宅兼事務所」という品目を作成し、毎月の家賃取引へ付けます。

すでに取引を登録済みでも、後から品目を付けられます。件数が多い場合、freee公式ヘルプでは取引一覧または総勘定元帳から品目を一括付与する方法が案内されています。

手順2:家事按分ルールを登録する

  1. [確定申告]→[家事按分]を開く
  2. [+追加]をクリックする
  3. 勘定科目に「地代家賃」を選ぶ
  4. 品目に「自宅兼事務所」を選ぶ
  5. 事業利用比率に「20%」を入力する
  6. [保存]をクリックする
freeeの確定申告メニューから家事按分一覧を開き、追加ボタンを表示した画面
[確定申告]→[家事按分]を開き、右上の[+追加]から家事按分ルールを登録します。
勘定科目を地代家賃、品目を自宅兼事務所、事業利用比率を20%にした家事按分の登録画面
地代家賃のうち品目「自宅兼事務所」が付いた取引を、事業利用比率20%で按分するルールの例です。

品目を指定した場合は、勘定科目と品目の組み合わせがルールと一致した取引だけが対象になります。似た名前の品目を複数作ると対象漏れにつながるため、毎月同じ品目を使います。

手順3:対象取引は按分前の総額で登録する

対象取引は、事業分だけの16,000円ではなく、実際に支払った総額80,000円で登録します。

  • 勘定科目:地代家賃
  • 金額:80,000円
  • 品目:自宅兼事務所
  • 口座:実際に支払った事業用口座
自宅家賃8万円を地代家賃、品目を自宅兼事務所、税区分を非課仕入として登録する画面
自宅家賃80,000円を、地代家賃・品目「自宅兼事務所」で登録する架空例です。

画像は住宅として借りている自宅の例であるため、税区分を「非課仕入」としています。住宅家賃は原則として消費税が非課税ですが、事務所として契約している物件などは取扱いが異なるため、賃貸借契約の用途を確認してください。

銀行やカードを同期している場合は、同じ取引を手入力せず、取り込まれた明細から登録します。freeeの自動で経理の使い方で明細の確認手順を解説しています。

この時点では80,000円全額が地代家賃になっているため、経費が多い状態です。後の再計算でプライベート利用分が事業主貸へ振り替えられるので、家事按分の処理が完了するまではそのままで問題ありません。

手順4:確定申告時に再計算する

対象期間の取引を登録したら、家事按分を再計算します。

  1. [確定申告]→[家事按分]を開く
  2. 対象年度とルールを確認する
  3. [再計算]をクリックする
  4. 対象金額・事業利用分・プライベート利用分を確認する
  5. [会計帳簿]→[損益計算書]で経費額を確認する

この例では、家賃80,000円を20%で按分するため、事業利用分16,000円が地代家賃として残り、プライベート利用分64,000円が事業主貸へ振り替えられます。

家事按分の再計算後に、合計金額8万円、事業利用比率20%、事業利用分1万6千円が表示された画面
再計算後は、合計金額80,000円のうち事業利用分16,000円が表示されます。差額64,000円がプライベート利用分です。

取引の追加・削除、勘定科目・品目・割合の修正をした場合は、もう一度[再計算]します。freee公式ヘルプでは、再計算のたびに最新の情報へ置き換わると説明されています。

電気代や通信費も基本的な手順は同じです。費用ごとに勘定科目と品目を分け、それぞれの利用実態に合う事業利用比率を設定します。家賃の例で使った20%を、そのまま他の費用へ使うわけではありません。

プライベートのお金で支払った場合

自宅家賃や電気代を、freeeへ登録していない個人口座などから支払うこともあります。

freeeの家事按分機能を使うなら、決済口座「プライベート資金」で総額を登録し、対象の品目を付けて家事按分します。この場合、処理後は事業主借と事業主貸が両方計上される形になります。

freee公式ヘルプでは、所得への影響はないためそのままでも差し支えないと案内しています。表示を整理する必要がある場合は振替伝票で相殺する方法もありますが、仕訳の判断が必要になるため、不安な場合は税理士へ確認してください。

なお、最初から事業利用分だけを手計算して経費登録している取引に、同じ家事按分ルールを重ねると、事業分をさらに減らしてしまいます。「総額を登録してfreeeで按分する」か「事業分だけを計算して登録する」かを混在させないようにします。

よくある間違い

全員共通の割合があると思う

「在宅ワークなら家賃30%」のような固定ルールはありません。自分の利用実態に合う基準で計算し、根拠を残します。

按分後の事業分だけを総額として登録する

freeeの家事按分機能を使う場合は、対象取引を按分前の総額で登録します。機能がその総額から事業利用分を計算します。

対象取引に品目を付け忘れる

勘定科目が合っていても、ルールで指定した品目が付いていなければ対象から漏れます。毎月同じ品目を使います。

事業専用の支出まで按分する

事業だけに使う事務所や通信回線であれば、私用分を分ける家事按分の対象ではありません。実際の使用状況を確認します。

比率や取引を直した後に再計算しない

設定変更後は[再計算]を行い、対象金額と損益計算書を確認します。

根拠を何も残さない

面積、時間、走行距離など、どの数字で割合を計算したかをメモします。請求書や間取り図などの資料もあわせて保存します。

登録後の確認チェックリスト

  • 対象取引に家事按分ルールと同じ品目が付いている
  • 対象取引は按分前の総額で登録されている
  • 事業利用比率の根拠を説明できる
  • 取引や比率を変更した後に再計算した
  • 家事按分画面の対象金額が請求書の年間総額と合っている
  • 損益計算書に事業利用分だけが経費として残っている
  • 同じ支出を別の方法でも按分していない

よくある質問

Q. 家事按分の割合は自由に決めてよいですか?

自由には決められません。割合は自分で設定しますが、面積・使用時間・走行距離など、利用実態に基づいて合理的に説明できる割合にします。

Q. 前年と同じ割合を使い続けてもよいですか?

必ずしも同じとは限りません。利用実態が変わっていなければ同じ計算結果になることはありますが、引っ越しや仕事時間の変化があれば見直します。

Q. 事業利用が100%なら家事按分が必要ですか?

いいえ。実際に事業専用であり、そのことを説明できる支出なら、私用分を分ける家事按分は通常必要ありません。

Q. 家事按分は毎月再計算しますか?

いいえ。freee公式ヘルプでは確定申告時に再計算する手順が案内されています。ただし、取引やルールを変更したときは、確認のため再計算できます。

Q. 法人でもfreeeの家事按分機能を使えますか?

いいえ。freee公式ヘルプでは、家事按分は個人事業主向けの機能で、法人では利用できないと案内されています。

Q. 家事按分と事業主貸は同じですか?

いいえ。家事按分は、事業と私用が混ざる支出を分ける処理です。freeeでは、その処理結果としてプライベート利用分が事業主貸へ振り替えられます。

まとめ

freeeで家事按分するときは、次の順番で進めます。

  1. 面積・時間・走行距離などから、説明できる事業利用比率を決める
  2. 対象を区別する品目を用意する
  3. 勘定科目・品目・事業利用比率を家事按分ルールへ登録する
  4. 対象取引は按分前の総額で登録し、同じ品目を付ける
  5. 確定申告時に再計算する
  6. 対象金額と損益計算書を確認する

家事按分は、割合そのものよりも「なぜその割合なのか」を説明できることが大切です。計算式と根拠資料を残し、毎年の利用実態に合わせて見直しましょう。

参考:

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・会計の判断を行うものではありません。具体的なご相談は税理士または所轄の税務署にご確認ください。

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