他の会計ソフトでは仕訳帳へ借方・貸方を直接入力していたのに、freeeを開くと「取引」と「振替伝票」が別々に用意されている——。どちらへ入力すればよいか迷いやすいところです。
結論からいうと、日々の売上や経費は、特別な理由がなければ「取引」で登録します。 「振替伝票」は、決算整理や修正など、取引形式では入力しにくい仕訳を借方・貸方で直接登録するときに使います。
「取引」は簡易的なメモではありません。入力した内容から、freeeが複式簿記の仕訳を自動で作ります。振替伝票との大きな違いは、決済状況・決済期日・口座・入出金明細とのつながりまで管理できることです。
この記事では、freeeの取引・振替伝票・口座振替の違いを、初めて会計ソフトを使う方や他社サービスから乗り換えた方向けに整理します。
※記事内の日付・取引先・金額は、操作説明用の架空データです。
※本記事はfreeeの一般的な機能と画面操作を説明するものです。個別の取引に使う勘定科目や決算整理の要否は、税理士または所轄の税務署へご確認ください。
※2026年8月1日にfreee公式ヘルプを確認しています。画面名やメニューは変更される場合があります。
結論:日々の記帳は取引、例外的な仕訳は振替伝票
まずは次のように分けると迷いにくくなります。
| 記録したい内容 | 使う機能 |
|---|---|
| 現金や銀行で支払った経費 | 取引 |
| 請求済みで、後日入金される売上 | 未決済の取引 |
| 未決済の売上に対する入金 | 取引の消込 |
| 自分の銀行口座から別の自分の銀行口座へ資金を移した | 口座振替 |
| 銀行口座からクレジットカード利用額が引き落とされた | 口座振替 |
| 決算整理や修正など、取引形式では表しにくい仕訳 | 振替伝票 |
| 他社会計ソフトから仕訳形式のCSVを移行した | 振替伝票として取り込まれる |
判断の軸は、次の3つです。
- 売上や経費の発生と、その支払い・入金を管理したいなら「取引」
- freeeに登録した口座間でお金を移しただけなら「口座振替」
- 借方・貸方を直接指定する必要がある仕訳なら「振替伝票」
freee公式ヘルプでも、日々の基本的な記帳は「取引」または「口座振替」を使い、取引形式で入力できない仕訳や決算時に必要な仕訳などに振替伝票を使うよう案内されています。
freeeの「取引」とは
freeeの取引は、売上や経費が発生した事実と、そのお金がいつ・どの口座で動いたかをまとめて管理する単位です。
主に次の情報を持ちます。
- 収入か支出か
- 決済済みか未決済か
- 発生日
- 決済期日(未決済の場合)
- 決済口座(決済済みの場合)
- 勘定科目・税区分・金額
- 取引先・品目・部門・メモタグ・備考
- 銀行やカードの明細とのつながり
例えば、2026年8月1日にサンプル文房具店で11,000円の事務用品を現金で購入したとします。
取引画面で「支出」「決済済み」「現金」「消耗品費」「11,000円」と登録すると、今回のテスト事業所では次の仕訳が作られます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 10,000円 | 現金 | 11,000円 |
| 仮払消費税等 | 1,000円 | ― | ― |

取引形式で入力した内容から、freeeが借方・貸方の仕訳を自動で作ります。画像は税抜経理に設定した操作説明用のテスト事業所で撮影しているため、消耗品費10,000円と仮払消費税等1,000円に分かれています。
税込経理の場合は、原則として「消耗品費11,000円/現金11,000円」の1行になります。免税事業者は税込経理方式によるため、実際の表示が画像と異なる場合があります。経理方式が違っても、取引から複式簿記の仕訳が自動生成される点は同じです。
つまり、取引は単式簿記ではなく、複式簿記の仕訳を分かりやすい入力画面から作る機能です。借方・貸方を毎回考えなくても、帳簿には仕訳として反映されます。
仕訳プレビューは、利用開始時の設定やユーザーごとの表示設定によってはオフになっており、取引入力画面に表示されないことがあります。表示されない場合は、[その他設定]→[ユーザー設定]→[表示設定]で「仕訳プレビュー機能を使う」を選択して[設定の保存]を押します。

仕訳プレビューを有効にすると、取引を登録する前に借方・貸方を確認できます。この設定はユーザーごとの表示設定なので、同じ事業所でも利用者によって表示の有無が異なる場合があります。
未決済の売上や経費も取引で管理できる
請求書を発行した時点では未入金で、翌月に銀行へ振り込まれる売上は「未決済」の取引として登録できます。
未決済取引には決済期日を設定でき、後日入金されたときに銀行明細と結び付けて消し込みます。この一連のつながりを管理できることが、振替伝票との大きな違いです。

画像の例では、売上200,000円に対して50,000円が入金され、決済残額150,000円が残っています。未決済の取引では、売上や経費の発生日と、実際の入金・支払日を分けて管理できます。
freeeで売掛金を消し込む方法では、請求額と入金額が同じ場合、振込手数料が差し引かれた場合、一部入金の場合を画像付きで解説しています。
freeeの「振替伝票」とは
振替伝票は、借方・貸方の勘定科目、税区分、金額などを直接入力する仕訳形式の機能です。
freee公式ヘルプでは、主に次のような場面が例示されています。
- 間違った仕訳を訂正する修正仕訳
- 決算整理仕訳
- 資産の売却や評価の引き下げ
- 借入金で資産を購入した場合
- 流動資産・固定資産などの振り替え
- 取引形式では入力できない複合仕訳
- 他社会計ソフトから移行した仕訳データ
例えば、インターネット利用料50,000円を誤って消耗品費として登録し、あとから通信費へ直す必要があるとします。修正仕訳を振替伝票へ入力する場合は、次の形になります。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 通信費 | 50,000円 | 消耗品費 | 50,000円 |

振替伝票では、借方・貸方を直接指定して仕訳を入力します。
この例は画面形式を示すための架空データです。元の取引を編集できる場合は、振替伝票を追加せず、元の取引を直接修正した方が分かりやすいこともあります。修正仕訳を追加すべきか、元の取引を直すべきかは、締め処理や申告状況によって異なるため、必要に応じて税理士へ確認してください。税区分は元の取引と整合するように設定します。
振替伝票には通常の決済管理機能がない
通常の振替伝票へ売掛金や買掛金を入力しただけでは、取引と同じ決済管理は行われません。
freee公式ヘルプでは、振替伝票で計上した売掛金・買掛金などを後から消し込みたい場合、次の方法が案内されています。
- 入金・支払いの仕訳も振替伝票で手入力する
- 振替伝票の残高から未決済取引を作成し、その取引を消し込む
振替伝票から未決済取引を作成できる対象には、売掛金・未収入金・未収収益・買掛金・未払金・未払費用など条件があります。また、取引先ごとにまとめて作成される場合があるため、個々の請求単位で管理したいときは登録結果を確認してください。
本記事では取引と振替伝票の使い分けに範囲を絞ります。実際の操作は、freee公式ヘルプ「振替伝票を作成する」の「振替伝票から未決済取引を作成する」をご確認ください。
取引・振替伝票・口座振替の違い
「振替伝票」と「口座振替」は名前が似ていますが、別の機能です。
| 項目 | 取引 | 振替伝票 | 口座振替 |
|---|---|---|---|
| 入力方法 | 収入・支出、決済状況、口座、勘定科目等を選ぶ | 借方・貸方を直接入力する | 振替元口座と振替先口座を選ぶ |
| 主な用途 | 日々の売上・経費 | 修正・決算整理・複雑な仕訳 | 自分の口座間の資金移動 |
| 決済期日・決済状況 | 管理できる | 通常は取引と同じ形では管理しない | 売上・経費の決済管理ではない |
| 銀行・カード明細との処理 | 自動で経理から登録・消込できる | 通常は仕訳を直接入力する | 口座間の明細を処理できる |
| 仕訳への反映 | 自動生成される | 入力した借方・貸方が反映される | 口座間の仕訳が生成される |
| 向いている人・場面 | 日々の記帳を効率化したい | 仕訳を直接組む必要がある | 資金移動を重複なく記録したい |
取引と振替伝票は確認する画面も異なる
[取引の一覧・登録]に表示されるのは、取引形式で登録したデータです。振替伝票として登録した仕訳は、取引一覧には表示されません。
振替伝票の内容を確認・編集したい場合は、[取引入力]→[振替伝票]を開きます。取引から自動生成された仕訳と、振替伝票で直接登録した仕訳をまとめて確認したい場合は、[会計帳簿]→[仕訳帳]を開いてください。
仕訳帳には両方の仕訳が表示されるため、「入力したはずなのに取引一覧に見当たらない」ときは、仕訳帳で日付・金額・勘定科目などを検索すると登録状況を確認できます。
「口座振替」は、公共料金の自動引き落としという日常語の意味でも、借方・貸方を入力する「振替伝票」の略でもありません。freeeでは、登録した口座同士のお金の移動を表します。
銀行間の振り込み、現金の引き出し、カード利用額の引き落としは、freeeの口座振替の使い方で詳しく解説しています。
どちらを使うか具体例で判断する
商品やサービスを販売し、その場で入金された
「収入・決済済み」の取引として登録します。決済口座には実際に入金された現金や銀行口座を選びます。
請求書を発行し、翌月に入金される
請求時に「収入・未決済」の取引を登録し、入金時に消し込みます。
借方・貸方で「売掛金/売上高」を振替伝票へ入力することも仕訳自体は可能ですが、入金期日や未決済残高をfreeeで追うなら、通常は未決済取引の方が管理しやすくなります。
レシートやカード明細から経費を登録する
支出取引として登録します。銀行・カードを同期している場合は、自動で経理から処理すると、取引と元明細を結び付けられます。
同じ経費を振替伝票にも入力すると二重計上になるため、両方へ登録しません。
自分の銀行口座から別の自分の銀行口座へ資金を移す
取引でも振替伝票でもなく、口座振替を使います。新しい売上や経費が発生したのではなく、お金の置き場所が変わっただけだからです。
決算時に取引形式で入力できない振り替えが必要になった
振替伝票を使います。借方・貸方を直接指定し、必要に応じて摘要や取引先なども設定します。
他社会計ソフトの過去仕訳を移行する
仕訳形式のCSVは、振替伝票としてインポートします。後から詳しく説明しますが、移行後に発生する新しい日々の売上・経費まで振替伝票へ統一する必要はありません。
同じ仕訳でも管理できる情報が違う
取引と振替伝票で同じ借方・貸方を作れば、財務諸表上の結果が同じになる場合があります。それでも、freeeの中で管理できる情報や、その後の操作は同じではありません。
先ほどの現金11,000円の経費を例にします。
- 取引:「支出・決済済み・現金・消耗品費・11,000円」と登録
- 振替伝票:「借方 消耗品費11,000円/貸方 現金11,000円」と登録
どちらも仕訳帳には同じ形で表示され得ます。しかし、取引には決済状態や決済口座など、日々の業務で使う情報がまとまっています。自動で経理、請求書、消込、入金・支払管理などともつながります。
一方、振替伝票は仕訳そのものを直接入力することに向いています。日々の明細をすべて振替伝票へ入力すると、銀行明細との処理や未決済管理を別に行う場面が増え、freeeの自動化を活かしにくくなります。
そのため、「同じ仕訳が作れるか」だけでなく、「入出金や未決済残高を後でどう管理するか」まで考えて選ぶことが大切です。
他社会計ソフトから乗り換えた人の注意点
移行した過去仕訳が振替伝票になるのは異常ではない
freee公式ヘルプでは、他社会計ソフトの仕訳形式データをインポートすると、振替伝票として登録されると案内されています。

他社会計ソフトの仕訳形式データは、振替伝票のインポート機能から取り込みます。
過去の仕訳が取引一覧ではなく振替伝票側に見えるのは、必ずしも移行失敗ではありません。元データが仕訳形式だったためです。
移行後の新しい取引はfreeeの取引形式でよい
過去データが振替伝票として入ったからといって、移行後の日々の記帳まで振替伝票へ合わせる必要はありません。
移行日以後の銀行・カード明細、売上、経費は、原則として取引や口座振替で登録します。こうすることで、明細の自動取得、未決済管理、消込などfreeeの機能を使いやすくなります。
開始残高と過去仕訳の移行を重ねない
利用開始時点の資産・負債を開始残高へ設定したうえで、同じ残高を作る過去仕訳も重複して取り込むと、残高が二重になる可能性があります。
どの時点から取引を取り込み、開始残高に何を含めたかを記録してから移行してください。初めて設定する場合は、freeeの初期設定を行う順番も参考にしてください。
売掛金・買掛金の未決済管理をどう引き継ぐか決める
仕訳インポートで売掛金や買掛金の残高を移しただけでは、請求ごとの決済期日や消込状況が通常の取引と同じように作られるとは限りません。
freeeには振替伝票の残高から未決済取引を作る機能がありますが、対象勘定科目や作成単位に条件があります。移行件数が多い場合や残高が合わない場合は、二重登録を避けるため、移行前にfreeeサポートや税理士へ確認してください。
振替伝票を使うときの基本手順
手順1:振替伝票を開く
[取引入力]→[振替伝票]を開きます。
手順2:発生日と借方・貸方を入力する
発生日を選び、借方と貸方の勘定科目・税区分・金額を入力します。必要に応じて取引先、品目、部門、メモタグ、備考などを設定します。
借方と貸方の合計が一致していることを確認してください。
手順3:必要な資料を添付する
振替伝票にはファイルを添付できます。仕訳の根拠となる計算表や資料がある場合は、後から確認できるように保存します。
手順4:登録後に仕訳帳と残高を確認する
登録後は仕訳帳で日付・勘定科目・税区分・金額を確認します。決算整理仕訳なら、試算表や対象勘定科目の残高も確認します。
間違いを直すための仕訳をさらに重ねる前に、元の仕訳と修正後の残高を照合してください。
よくある失敗
同じ売上・経費を取引と振替伝票の両方へ登録する
同じ内容を2か所へ登録すると、売上や経費が二重になります。
特に、他社会計ソフトの仕訳をインポートした期間へ、銀行明細から同じ取引を登録すると重複しやすいため、移行対象期間と同期開始日を確認してください。
銀行間の資金移動を振替伝票で処理する
借方・貸方を直接入力して仕訳だけ作ることはできますが、freeeに登録した口座間の資金移動は通常、口座振替を使います。
両方の銀行明細を同期している場合は、反対側の明細まで別の取引として登録しないようにします。
売掛金を振替伝票へ入力し、取引の未決済一覧に出ると思う
振替伝票には通常の取引と同じ決済管理機能がありません。入金管理までfreeeで行うなら、未決済取引として登録するか、振替伝票の残高から未決済取引を作成する方法を検討します。
自動生成された仕訳を振替伝票でもう一度入力する
取引、口座振替、家事按分、固定資産台帳などの操作から、freeeが仕訳を自動生成する場合があります。
仕訳帳に表示された仕訳を見て「まだ振替伝票を入力していない」と考え、同じ仕訳を追加しないでください。先に仕訳の登録元を確認します。
仕訳インポートと取引インポートへ同じデータを入れる
freeeには、仕訳を振替伝票として取り込む方法と、収入・支出や口座振替として取り込む方法があります。同じ期間・同じ内容を両方から取り込むと重複するため、移行方法を先に決めます。
よくある質問
freeeは振替伝票だけで記帳できますか?
仕訳を入力できる場合はありますが、日々の記帳を振替伝票だけにすることはおすすめしません。 決済期日、未決済残高、銀行・カード明細とのつながりを管理しにくくなり、freeeの自動化を活かせないためです。
freeeの「取引」は単式簿記ですか?
いいえ。 取引画面へ入力した内容から、freeeが複式簿記の仕訳を自動で作成します。必要に応じて仕訳プレビューや仕訳帳で借方・貸方を確認できます。
口座振替と振替伝票は同じですか?
いいえ。 口座振替はfreeeに登録した口座同士のお金の移動を記録する機能、振替伝票は借方・貸方を直接入力する機能です。
他社会計ソフトから移した振替伝票を取引へ直す必要がありますか?
通常、過去仕訳をすべて取引へ直す必要はありません。 ただし、売掛金や買掛金をfreeeで消し込みたい場合は、未決済取引の作成方法を確認する必要があります。開始残高・移行期間・未決済残高が重複していないかも確認してください。
取引から作られた仕訳はどこで確認できますか?
取引の登録前後に仕訳プレビューを表示できるほか、登録後は仕訳帳などの帳簿で確認できます。表示設定や利用画面によってプレビューの場所が異なる場合があります。
振替伝票を使わないと青色申告できませんか?
いいえ。 日々の記帳を取引形式で行っても、freeeが仕訳を作成します。青色申告で必要なのは帳簿や申告要件を満たすことであり、すべての仕訳を振替伝票画面から入力することではありません。
まとめ
freeeの取引・振替伝票・口座振替は、次のように使い分けます。
- 日々の売上・経費、未決済の請求:取引
- 自分の口座間の資金移動:口座振替
- 修正・決算整理・取引形式では入力できない仕訳:振替伝票
- 他社会計ソフトから仕訳形式で移行した過去データ:振替伝票
迷ったときは、借方・貸方だけでなく、決済期日・入出金明細・売掛金や買掛金の消込まで管理したいかを考えてください。
日々の記帳は取引と口座振替を中心にし、振替伝票は必要な仕訳へ限定すると、freeeの自動化と残高管理を活かしやすくなります。
参考資料
- freee会計で「取引」を登録する
- freeeの取引入力で自動作成される仕訳について
- 振替伝票を作成する
- 振替伝票には決済の機能がない
- 他社会計ソフトから仕訳データを移行する
- freeeへインポートできるデータ
- No.6909 税抜経理と税込経理の選択適用(個人の場合)(国税庁)
本記事は、上記のfreee公式ヘルプおよび国税庁資料を2026年8月1日に確認した内容に基づいています。

